考えてみれば、僕の周りにもいじめがありました。小学校のとき、中学校のとき、野球を始めてからも、いじめをする人がいたことを覚えています。
それから20年以上が経ち、僕は大人になり、家族を持つようになりました。
そんな中、いじめについての研究があるという話を聞きました。それによると、いじめはそのときだけでなく、その後の人生にも悪い影響を与えるというのです。
それで僕は心配になりました。僕が子どもの頃、いじめの被害に遭っていた友達は、僕と同じように家族を持ち、子どもの親になっているだろうか。仕事につき、社会人として活躍しているだろうか。それとも、過去のいじめ体験を苦しく思い出しているのではないだろうか、と。
今を生きる子どもたちのことも同じです。今、いじめに悩み、苦しんでいる子どもたちが、今だけでなく将来も苦しむ可能性があるとしたら、余計に何とかしなければなりません。
いじめの研究によると、いじめをなくすためには科学が使えるそうです。
つまり、いじめをなくそう、いじめの被害者を救おうという気持ちも大切ですが、理詰めで考え、データに基づいた正しい方法をとることが良い結果に結びつくというのです。まさに、僕のピッチングスタイルと同じです!
また、いじめの被害に遭わないようにする、被害に遭っている人を救うという守りの発想も大切ですが、いじめが起きない社会を創るという攻めの考えの方も大切だと思います。守りと攻めのバランス、これも僕が自分のピッチングで考えていることと同じです。
いじめは些細なことではありません。自分さえ辛くなければ、放っておいて良い問題でもありません。「いじめは子どもの未来に影響を与える」とするならば、全ての人が当事者で、全ての人がすぐに行動すべきです。
いじめをなくすヒーローになりましょう。
本当のヒーローは、誰にでも優しくて、誰かを傷つけることなく、正しい行動をとれる人だと僕は思います。本当の勇気と行動力がある人です。
僕は本当のヒーローになります! 三人の子どもをもつ父親として、責任ある社会人として、アスリートの一人として、これを僕の行動宣言にしたいと思います!
岩隈久志